サレの気持ちは揺れ動く
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いつだってスマホを携帯してヒマさえあればいじっている、その主人が、やっぱり何やらスマホをいじりながら出社していく様子を見て、
あらあら誰と連絡とるのかしら。
とか。
彼女と早めに落ち合ってラブっちゃったりするのかしら。
とか。
考えなくてもいいことをバカみたいに考えて、ささくれ立っていたのだけど。
そういえばと思い出して、主人のほつれているズボンを出した。
娘のもあったなあと、ついでに。
針と糸を出して、ちくちくちくちく、縫い合わせる。
裁縫は決して得意ではないけど、1針1針思いを込めて、時間をかけて、直していく。
その時間が、なんだかとても幸せだった。
いつも働いている主人に感謝をしながら、大切に、縫った。
こうして、こうやって、主人のズボンを直している。
仕上げには丁寧にアイロンをかけて、できばえに自分で満足して。
幸せなことだなあと、しみじみ思ったのです。
なんてありがたい。
あたりまえのようで、たぶん求めようと思ったら手に入れるのはひどく難しい、
日常の幸福。
主人を愛しているかと聞かれたら、やっぱり答えに困ってしまうけど。
この時間を愛していて、娘を愛していて、家族を愛している。
いつもありがとう。
生まれ変わったみたいなぴかぴかのズボンに、主人は気づくだろうか。
喜んでくれるといいな。
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